![](https://matsuda-blog.info/wp-content/uploads/2021/06/20160714121643.png)
こういうデータがあって…
というふうに、客観的なデータをもとに考えるのはとても大事なことです。
そして、データはグラフ化して「見える化」すればわかりやすく伝えることができます。
しかし中には「大げさに見えるように工作しているグラフ」もあったりします。
こういうグラフに騙されない「統計リテラシー」をこの記事で身につけましょう!
- ”差”をデカく見せるマジック
- グラフを縦に伸ばす
- グラフの下をカット
- ズルい遠近法
- 数字の”変化”をゆがめるマジック
- 軸を”log”にする
- あのエビングハウスの忘却曲線も…!
- 数字を”誇張”するマジック
- 「高さ」を5分の1倍にしてごまかす
”差”をデカく見せるマジック
グラフを縦に伸ばす
![](https://matsuda-blog.info/wp-content/uploads/2021/06/2-trimmed-1024x508.jpg)
この2つのグラフを見てください。
左:変化が激しく、2019年には激増している?
右:変化はあまりなく、安定的
といった印象を持つと思います。
しかし実はこの2つのグラフ、
同じデータをもとに作られています。
なぜこんなにも違うグラフになったのでしょう?
そのタネは、
左グラフの縦軸:450~470万円
右グラフの縦軸:0~800万円
となっていることです。
つまり、左のグラフでは
変化が大きく見えるように拡大しているのです。
たったこれだけで、イメージを操作できてしまいます。
![](https://matsuda-blog.info/wp-content/themes/cocoon-master/images/doya-man.png)
2019年、給料がバーンと跳ね上がりましたよ…!
と言いたければ左のグラフを使いたくなるし、
![](https://matsuda-blog.info/wp-content/themes/cocoon-master/images/b-man.png)
この会社の給料は安定していますよ!
と言いたいなら右のグラフを使うでしょう。
このようなグラフで振り回されないためには、
✓縦軸はどうなっている?
✓グラフで見せられた”差”や”変化”はそれほど重要か?
といったことの確認を怠らないことです。
グラフの下をカット
![](https://matsuda-blog.info/wp-content/uploads/2021/06/d5e4b3bb785f132e203388a8ee807173-1024x576.jpg)
こちら2つのグラフも、
同じデータをもとに作られたものですが、
印象が全く違いますよね。
右のグラフを出されると、
![](https://matsuda-blog.info/wp-content/uploads/2021/06/face_angry_man2.png)
地方格差、デカすぎる…!
というイメージが強くなります。
これはなぜかと言ったら、
棒グラフの下がカットされている
からです。
たったこれだけで、東京都と沖縄県の差を
デカく見せつけることができてしまいます。
このようなグラフで振り回されないためには
先ほどと同様、
✓縦軸はどうなっている?
✓グラフで見せられた”差”や”変化”はそれほど重要か?
といったことの確認をすることが重要です。
ズルい遠近法
![](https://matsuda-blog.info/wp-content/uploads/2021/06/3D-1024x576.jpg)
こちらは「A塾の合格者数」を表したものになります。
(架空のデータです)
右のグラフは、左のグラフを3D化し
斜めから見たものです。
すると、どうでしょう。
右のグラフのほうが、
「圧倒的合格者数!」
という感じが出ませんか?
このトリックとしては、
遠くにあるものは余計に小さく見え、
近くにあるものは余計に大きく見える。
というものです。
まさに「ズルい遠近法」です。
![](https://matsuda-blog.info/wp-content/uploads/2021/06/1af7f711121a9efff82468451af95c32-1024x576.jpg)
今度は、こちらの3Dグラフを見てみましょう。
3Dグラフで見ると、
![](https://matsuda-blog.info/wp-content/themes/cocoon-master/images/woman.png)
グレー>青>オレンジ
の順に多いかな…?
と思う方が多いと思います。
しかし…。
右のグラフは、3Dではなく平面にしたもので、
それを見ればわかる通り、実は
「青>グレー>オレンジ」の順に多いです。
上の2つの例のように、
立体的なグラフは誤解を招くことが多いので、
特に注意して見なければいけません。
なので3Dグラフを見たら、
何か誇張していないか?
大小関係がごまかされていないか?
を確認しましょう。
数字の”変化”をゆがめるマジック
軸を”log”にする
![](https://matsuda-blog.info/wp-content/uploads/2021/06/www.pnas_.orgcontent1184e2016976118.jpg)
このグラフを見て、
![](https://matsuda-blog.info/wp-content/uploads/2021/04/gutspose_man.png)
「Zスコア」と「年収」は
直線的な関係にあるんだな…!
と判断してしまった人、残念…!
このグラフの横軸をよ~く見てください。
125→250→500→1000→2000→4000→8000
と2倍になっています(公比が2の等比数列)。
目盛りが等間隔になっていない!
しかし、ある見方をすると”等間隔”になっています。
2を底とする対数をとってみると、
log2125→log2250→log2500→log21000
→log22000→log24000→log28000
ここで、対数の性質
log2ab = log2a + log2b
を使うと、
log2125→log2125+1→log2125+2→log2125+3
→log2125+4→log2125+5→log2125+6
となって、1ずつ増えています。
つまり、対数(log)をとることで
等間隔でないものを等間隔にできてしまうのです。
だから、さっきの男の子の考えを修正するとすれば、
![](https://matsuda-blog.info/wp-content/uploads/2021/04/gutspose_man.png)
「Zスコア」と「年収の対数」は
直線的関係にあるんだな…!
ということになります。
よ~く見ないとまんまと騙されてしまいます。
軸の目盛りは等間隔か?
ということをしっかり確認しましょう。
あのエビングハウスの忘却曲線も…!
![](https://matsuda-blog.info/wp-content/uploads/2021/06/242706adb5fe7271fb6c9d5f2a810ef3.png)
こちらのグラフは、
受験を経験した人なら1度は耳にする
「エビングハウスの忘却曲線」です。
ですが、冷静に見てください。
横軸の間隔がおかしい!
しかも対数ではなさそう…。
世に出回っている忘却曲線は、
だいたいこんな形をしています。
きれいなグラフにしたいからなのか分かりませんが、
世に出回っている忘却曲線のほとんどが「横軸の間隔がおかしい」です。
ということで、横軸の間隔を正しくしたものを作りました。
![](https://matsuda-blog.info/wp-content/uploads/2021/06/twitter-1024x509.jpg)
こうすれば、受験アドバイスによくある
![](https://matsuda-blog.info/wp-content/themes/cocoon-master/images/b-man.png)
エビングハウスの忘却曲線によれば、
学習直後にもっとも早く忘れてしまうので…
という主張も、この正しいグラフを出せば大いに納得できるでしょう。
なのにわざわざ、緩やかなグラフを持ち出して説明しているのです。
僕にとっては不思議でなりません…。
数字を”誇張”するマジック
「高さ」を5分の1倍にしてごまかす
![](https://matsuda-blog.info/wp-content/uploads/2021/06/panda-1024x576.jpg)
今度は「パンダの数が5分の1になった」
ということを「絵」で表現します。
そのためには、パンダの画像と、
その面積を5分の1にした画像を用意すれば良さそうですよね。
(立体的な効果を考慮して、見かけの体積を5分の1にしたほうが良い場合もある)
ところが、
![](https://matsuda-blog.info/wp-content/themes/cocoon-master/images/man.png)
よし、画像の高さを5分の1にすればOK!
と考えてしまう人がたまにいます。
長方形の辺の長さをA倍にすると面積はA2倍になります。
なので、画像の面積は25分の1となってしまい
「パンダの数が激減した!」というイメージが
誇張されてしまいます。
(それが良いか悪いかは別問題ですが)
よって、画像の縦横の長さは√5分の1にしなければならないはずです。
さっきの少年のように、
単純にミスしてしまっただけの場合もありますが、
![](https://matsuda-blog.info/wp-content/themes/cocoon-master/images/doya-man.png)
ほら、高さが5分の1になっているでしょ!
といいながら、意図的にやっている場合もあるので注意が必要です。
イメージ図に振り回されることなく、
数字で状況を判断しよう。
今回のまとめ
![](https://matsuda-blog.info/wp-content/uploads/2021/06/f84aa1e7089d7746c6677abd87fbdbfc-1024x576.jpg)
![](https://matsuda-blog.info/wp-content/uploads/2021/06/0d1fc5fa8ab0c76df92e4e0a6a8fdabb-1024x576.jpg)
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